起業塾[トップ] > 起業ニュース・報告書[トップ] > 平成22年度 開催報告
トップへ戻る
◇◇◇ 平成22年度 第7回「起業塾」の報告 ◇◇◇

共同研究イノベーションセンター
産学官連携コーディネーター 塚 田 光 芳

1.はじめに
1日目 篠怎Zンター長と
株式会社ペプタイドドア 鈴木 社長
 地域経済の閉塞感を打破するには、ベンチャー育成によるイノベーションが重要であることに鑑み、共同研究イノベーションセンターは、過去6年間にわたり創業支援事業である「起業塾」を継続開催してきた。この創業支援事業は、県内各地の地方公共団体や商工会議所等でも開催しているが、各機関が実施する支援事業の間に連携・協力関係が少なく、ベンチャーを育成する裾野拡張の展開に共通課題があることは認識されている。このようなことから、イノベーションセンターは平成21年に起業塾の設立趣意書をリニューアルした。これにより、発起人として新たに地方公共団体・金融機関等を加え、地域社会や産業界との連携の強化を目的に、各機関とのパートナーシップに基づいた協力体制を構築した。今年度も当該趣意書に則り、座学形式のカリキュラムを改め、討論・実習を中心に、参加者が主体的に考える模擬的学習を体験できるグループワークを実施した。
2日目 共同研究イノベーション
センター 教授 伊藤 正実
 9月末から受講生を募集した結果、約1カ月の期間で受講登録者数は21名であった(女性が4名)。このうち10名が企業に勤務し、6名が大学の学生で、その他が5名であった。4日間の全カリキュラムに出席した受講者(企業勤務者が7名、学生が4名)は11名に上り、グループワーク等を通じて抱いた印象は、起業への意欲と関心は決して低くはなかったことである。このように不況が蔓延する現社会においても、起業家精神は着実に生き続けており、若い企業が発展して行く社会を十分に期待できるのではないかと考えている。
 実際に、起業に踏み出そうと構想していた二名の受講者は、全カリキュラムに出席し、熱心にグループワークを主導していた。また、4名の学生は本学の工学部の学部生2名、院生1名及び医学系研修生1名の現役であった。優秀な学生の多くは起業を目指すという米国の学生の姿と多重露光された4名の学生の熱心な活動風景が深く印象に残っている。
 ここでは、各グループの事業計画の発表と講師の講評を要約し、第7回起業塾の報告とする。

2.事業計画の発表・講評
Aグループ:「ベジタブルシステム」
 すし屋の新鮮なネタの提供をヒントに、新鮮な野菜の提供をビジネスとして考えた。事業の背景として、食の安全性への要求、ガーデニングブームの到来及び健康志向にこたえるものである。商品コンセプトは、自分で育てる野菜、及び栄養価の高い野菜の要請があることを受けて、これを目的とした商品システムの開発とサービスの提供を行う事業計画である。講評としては、プレゼン能力、チャートのレベルが高く、これを事業計画として纏め説明したならば、銀行員は感心すると思う。ここまでブレークダウンして、ビジュアルに整理された資料にお目にかかることは滅多にない。只、顧客が企業の店舗なのか、個人なのかが明確でなかった。例えば、店舗が顧客の場合、店舗のメリットとしてどういうものがあるのか、個人の顧客のメリットはどういうところなのか見えなかった。顧客がモノを買うにはメリットがあるからであって、そこが見えてくると面白い事業計画になったと思う。

Bグループ:「フィールドアスレチック機器の販売とノウハウの提供」
 遊休化したフィールドアスレチックの有効活用を図ると同時に、60歳以上の年齢層向けに適用した新規のアスレチック施設を開発製造し、施設不足を充足しつつ、一層の健康増進を図ることを目的とするものである。セールスポイントは高齢者とお孫さんが楽しく運動を行うことができ、体力維持・向上ができる施設を考えている。販売ターゲットは全国の自治体で、事業の展開方法は、一施設を開発運営し、設備の問題点をあぶり出し機能向上を図り、それを基に改良機器の拡販に繋げるものである。
 講評としては、高齢化社会が進んでいる中で、介護事業も発展を遂げている。元気なお年寄りもおり、そのような視点から、当該事業を展開してみようという発想は非常に頼もしい。高齢者とお孫さんが一緒に楽しめるという施設は、楽しい、夢のあるモデルであり、すごくベンチャーらしくよいビジネスではないかと思っている。

Cグループ:「遊園地利用者動態情報収集分析システム」
 小型端末を遊園地の入場者が所持し、居場所や各アトラクションの料金等の情報を一括収集・管理するシステムの販売事業である。システムは遊園地の他にスーパーマーケット等で利用が可能であり、事業計画ではターゲットを絞って最初に遊園地を対象とした。
 講評としては、中小遊園地は、入場料を払った後、園内の顧客の行動は把握できていない。そこに目を付けたのは面白いと思った。只、遊園地自体が少子化の煽りを受けて経営的に厳しいのが大半であるので、事業がどのようなメリットをもたらすのか、もう少し細かく付け加えることができればよかったと思う。また、M&A又はIPOを行い、将来を見えるようにすればベンチャーらしくてよかった。今後、コンテンツを育てていけばビジネスリスクは低いと思う。入りと出のバランスが合えば、きちんとしたビジネスになる。
Copyright (C) , Business Incubation Work Gunma University. All Rights Reserved.