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◇◇◇ 平成21年度 第6回「起業塾」の報告 ◇◇◇

共同研究イノベーションセンター
産学官連携コーディネーター 塚 田 光 芳

1.はじめに
 新事業の創造は地域経済が活性化するために不可欠である。その担い手である起業者を、今までに4名輩出・支援できたことは起業塾の成果である。今後、この起業塾を継続するには、時宜に適った起業課題を明示すると共に、課題解決の事例を模擬体験できるカリキュラムを提供できるユニーク性が必要であると認識している。
 起業支援のための事業戦略・事業計画の策定、資金調達等の講義は起業カリキュラムの定番である。この事業計画は、職場における事業の具体的な方向性を示し、業務を共有化することができるため、グループワークによる事業計画策定をカリキュラムに採り入れることは、参加者全員の起業模擬体験の格好のツールとなる。そこで今回は、起業シーズ探索から事業展開までの一連の工程を事業計画書にまとめ、最後に事業計画に対するグループ間討議を行い、各講師から講評を受けることとした。
 ここでは、各グループの事業計画の発表に対する主な講評をまとめ、第6回起業塾の報告とする。本報告から、各グループの事業計画は、実現性のあるレベルの高い計画であるとの評価を受けており、ビジネス成功の処方箋として成果をまとめることができたと考えている。
なお、グループは4〜5名の受講者による3グループからなる。

2.事業計画の発表・講評
Aグループ:「ドライカット 個人事業主型美容室」
 講評:当該ビジネスモデルはたいへん分かりやすく、差別化戦略の説明も説得力があり、事業計画書の形態としてもたいへんよくまとまっていた。この事業計画を持って銀行に融資の申し込みをすれば、「プロフェッショナルのコンサルタントが事業計画書を作られたのか?」との印象を持たれるように筋書きがよくできていた。課題は、例えば、顧客への優遇策を考慮してポイント制等のサービスと、それを費用計上しておく等の顧客の囲い込み戦略が欲しかった。

Bグループ:「ケータイを用いた地産地消サービス」
 講評:ビジネスモデルの存在意義と役割は十分説得力のある説明であった。まとめは上手く工夫され、ビジュアル化も万全で整理の仕方はかなり手慣れている。なお、新聞記事に同じような産直販売のビジネス紹介があったが、こういうものが現実にあるということは、当該計画が本物のビジネスプランである証左であると認識した。これを実際に事業化した時に、同じようなビジネスが2〜3年後に出現する可能性がある。銀行の融資担当がこのビジネスモデルと裏付けの数字を理解できれば融資を利用することができるであろう。

起業塾の趣意書
Cグループ:「安心・安全 EMSHOP」
 講評:EM野菜の認知を上げる広告宣伝が事業展開の初期段階として必要である。品質管理や利益計画をこれから練っていく必要がある。EM野菜農家と消費者の仲介者としての存在意義はあるだろう。ニーズが高くなれば、野菜の仕入れの確保はもちろん、販売能力を確実に持つことが重要である。

3.起業は生まれにくく、育ちにくいか?
 平成16年度から起業塾を開催してきた。しかし、共同研究イノベーションセンターの起業塾が、旧来の殻にとらわれない起業の独自性を維持・発展させ、その趣旨を受講者に認識して貰うにはまだまだ努力不足と考えられる。多くの受講者に話を聞くと、「起業者は特別な人間に感じる」という意見が多い。このような思い込みを払拭することができないと、事業の試作モデルを作成・議論していくことは難しく、起業は生まれにくく、育ちにくいままである。
 起業の検討はするが、起業に踏み切る人はまだ少ない状況の中にあって、「生まれにくい」、「育ちにくい」の改善策が、平成21年度にリニューアルした実践的な起業塾の趣意書に結びつく。新事業を創造したフィールドと、起業者のアクティビティの世界を知るには、起業成功者である経営者と議論する中で、皮膚感覚を感じ取るより他に有効な手段はない。議論の中から経営者の起業の志を知り、そこで初めて「どうして起業したのか」がおぼろげながら分かってくる。
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