【はじめに】
バイオリアクターを用いて細胞や微生物を培養する際に、培養経過に伴って活性の低下した細胞や微生物の割合が増加することにより、バイオリアクター内の環境の悪化が問題となっている。しかし、同一種では、生・死によって外観による差は殆どなく従来の方法では分離が困難であった。さらに、生死と言う明確な区別だけでなく、活性の低下等も重要な問題になっている。そこで、本研究は、生・死細胞の誘電率の違いに着目し、誘電泳動特性を利用した生細胞の選択的分離・分別、分析、活性の評価を行う装置、Bio-MEMS(Bio-Micro Electromechanical Systems)を開発することを目的とする。そこで、マイクロマシンを専門とする早乙女教授と界面電気工学を専門とする箱田助手、さらに量産化を目指して潟ー・コーポレーションが参画し、共同研究を行っている。
【研究経過】
細胞の生死と誘電率の関係を明確にするため、不均一電場における強電場側電極(針電極)へ捕集される細胞・微生物の捕集速度について検討した。図1は大腸菌(E.coli)の捕集速度の結果を示し、図2は動物細胞(マウスハイブリドーマ 3-2H3)の結果を示す。それらの結果より、どちらの場合も1MHzの周波数により、生細胞は針電極へ付着し、死細胞は付着しないことが明らかとなった。また、各培養段階の細胞の誘電泳動速度を測定し、各培養段階における泳動速度の違いにより誘電率の相違を明らかにした。さらに、細胞懸濁液を加熱処理して、その懸濁液の誘電率測定も行い、細胞へのストレスが誘電率変化として現われることを立証した。
これらの結果に基づいた分離・分析装置の設計を行い、マイクロマシン技術を駆使して作製を行っている。現時点では連続式分離装置を目的として、シリンダー型の電極セルとフィルター型の電極セルを作成中である。
【今後の展開】
バイオリアクターの開発による生細胞と死細胞の連続・高精度・高効率分離,動物細胞の活性による分離、有効な細胞融合のための活性測定などの装置システムへの応用展開、実用化、さらに本Bio-MEMSによって学術研究が促進されることを期待している。
論文
1)Hakoda M. and N. Shiragami: “Bioseparation Engineering", editors by I. Endo, T. Nagamune, S. Katoh and T. Yonemoto, Elsevier Science, Netherlands, 53-58 (2000)
2)箱田 優、脇坂 嘉一、白神 直弘:化学工学論文集、27(2)、159-164(2001)
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